2007年01月22日

実行機能障害(認知症シリーズ −4−)

今回は中核症状の最後の項目の実行機能障害です。

健康な人は頭の中で計画を立て予想外の変化にも適切に按配してスムーズに進めることができます。認知症になるとそれが上手く出来なくなり、日常生活を円滑に行うことが困難になります。
例えば、スーパーでニラを見て冷蔵庫にあった卵と一緒に卵とじを作ろうと考えたと仮定します。
認知症になると冷蔵庫の卵のことはすっかり忘れて、ニラと卵を買ってしまいます。ところが、夕食の準備にかかると、買ってきたニラも卵も頭から消えて、目に付いた材料で料理をしてしまいます。冷蔵庫には同じ食材が並びます。
認知症のひとにとってご飯を炊き、同時進行でおかずを作るのは至難の業です。
でも「何も出来ない」のではありません。献立を考え、料理を平行して進めることはできませんが、全体に目を配りつつ一つ一つの声がけで食事の準備をすることができます。
こうした援助は根気もいるし、疲れますが認知症のひとには必要な支援です。
少しの手助けで、ご自分で出来ることが沢山あるのです。


感情表現の変化

私達は自分が育ってきた文化や環境、周囲の個性を学習し、記憶しているため、通常、自分の感情を表現した場合の周囲のリアクションは想像つきます。さらに、相手が知っている人であれば、かなり確実に予測できます。
認知症の人は時として、周囲の人が予測しない、思いがけない感情の反応を示します。それは、今までにお話した、中核症状である「記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害」のため、周囲からの刺激や感情に対して正しい解釈ができなくなっているのです。
例えば普段の会話の中で「そんな馬鹿な」という言葉で、その場の状況を読めずに認知症のひとは「馬鹿」と言われたと解釈し、ストレートに怒りの感情をぶつけてしまうのです。
でも、認知症の人の行動が解っていれば、少なくても、本人にとっては不自然な感情表現ではないことが理解できますね。
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2007年01月04日

見当識障害、理解・判断力の低下(認知症シリーズ −3−)

見当識障害

見当識障害は記憶障害と並んで早くから現れる症状です。
見当識とは、現在の月日や時刻、自分がどこにいるか、など基本的な状況を把握することをいいます。時間に関する見当識が薄らぐと、長時間待つとか、予定に合わせて準備することができなくなります。もう少し進むと、日付や季節、年次にまで感覚が薄れ、季節感の無い服装をしたり、自分の年が解らなくなります。
更に進行すると方向感覚が薄らぎ、近所で迷子になったり、夜、自宅のトイレの場所がわからなくなったりします。
過去に獲得した記憶を失うという症状まで進行すると、自分の年齢や人の生死に関わる記憶がなくなり、周囲の人との関係が分からなくなります。

何度も「今日は何日?」「ここはどこ?」と訊ねたり、80歳の人が、30代以降の記憶が薄れてしまい、50代の娘に対して姉さん、叔母さんなどと呼び家族を混乱させ、とっくに亡くなった母親に会いに遠く離れた故郷に歩いて帰ろうとするのも見当識障害によるものと考えられます」。


理解・判断力の低下

認知症のなると、ものを考えることにも障害がおこります。
考えるスピードが遅くなり、二つ以上の事柄を上手く処理できなくなります。些細な変化、いつもと違う出来事で混乱をきたしやすくなります。
観念的な事柄と、現実的、具体的な事柄が結びつかなくなり、「糖尿病だから食べすぎはいけない」とわかっているのに、目の前のおまんじゅうを食べてよいのか判断できない、「倹約は大事」と言いながら悪徳商法に引っかかる、などということが起こります。また、目に見えないメカニズムが理解できなくなるので、自動販売機や交通機関の自動改札、銀行のATMの前でまごまごしてしまいます。
ですが、必要な話はシンプルに表現し、時間をかけると自分なりの結論を出すこともできますし
、予想外の出来事が起こった時、補い守ってくれる人がいれば日常生活は継続できます。
posted by 99 at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 認知症